失敗を糧に、
成長する

CAREER

01

M.N.

審査部

2006年新卒入社

足元に潜む闇

これが金融の恐さか——。M.N.は入社4年目の冬、入社以来3年間担当していた大手メーカー企業の倒産を経験した。新人時代からリースの取引でお世話になっていた先。競合ひしめくなかで年々業績が悪化していき、リーマンショックが重なったタイミングもあって破産した。直前に東京へ異動となっていたM.N.は、担当からは外れていた取引先の、その知らせを聞いて血の気が引いた。「後任に引き継いでいたとはいえ、メインで担当していたのは私です。当社にも多大な損害を与えることとなり、精神的ダメージはあまりにも大きいものでした」

大学時代は商学部に所属し、就職活動では金融業界を幅広く志望。PCが好きだったこともあり、「NECの製品など、モノを介在した融資に魅力を感じて当社への入社を決めました」。機器のリースを通じて顧客の経営にコミットできる当社の仕事は、まさにM.N.が思い描いていた通りのビジネスだった。社会人生活にも慣れ、充実した日々を送るなかで、突如訪れた顧客の倒産。ショックを隠せなかった。

兆候はいくつかあった。直近の決算は赤字であり、優秀な社員が離職しているという噂を聞いた。何より、本社の商品展示場は静まり返っており、社内はどこか活気がなかった。今思えば取引を見直すべきだったのではないかと、当時の判断が悔やまれる。リースを行っていた商材は顧客の社内で稼働する基幹システムであるため、PCや自動車と異なり、システムを回収したとしても処分価値がなく、お金になるわけではない。最終的には数億円規模の損失を出すこととなった。金融業界では、債権を全て回収してはじめて、収益となる。そのことを、M.N.は身をもって学んだ。

NECキャピタル
ソリューションの
先頭を駆ける

入社8年目、M.N.は不動産リースを扱うソリューション部に所属していた。それまではICT製品のリース営業をメインに行っていたが、当社が新部署を立ち上げたことで、不動産リースの組成に携わるようになった。年間200件以上に及ぶ不動産を精査し、投資の可否を判断していくが、実際に取引として動くのは、ほんの十数件である。そんな新しいビジネス環境にも慣れてきた頃、M.N.のもとに新規案件が舞い込む。四国のとある都市で大型ホテルの開発が行われ、そのホテルの建物リースのスキームを組むというプロジェクトだった。数十億円規模の大型案件。「規模が大きいというのもありますが、そもそも不動産リースは当社内でもまだ手探りのビジネスでした。だからこそ新しいチャレンジができそうだと、個人的には興味が湧いていました」。社内でも類を見ない、稀有なビジネス。必然的に力が入った。

まずは当社が土地を貸借してゼネコンへ発注を行い、建物を建設。完成後はテナントに対して誘致を行い、建物をリースするという一貫したビジネスモデルだ。M.N.は主担当として、関係各所との調整、交渉を一から行っていた。ゼネコンや設計事務所、テナント、土地所有者など連携先は多岐にわたる。しかしながら、M.N.にとっては何もかもが初めての経験である。「契約書をつくるにしても、審査を行うにしても、当社にノウハウがなく、一つひとつの作業に膨大な時間がかかっていました。社外関係者との費用交渉も初めてで、適正価格を学ぶところからスタートです。複数ある関係会社の要望を言われた通りに飲んでいるだけでは、プロジェクトは上手く進みません。プロジェクト全体をスムーズに進捗させるために、ときには強い口調で相手の要望を退けることもありました」

検討開始から契約まで1年。物件の竣工まではさらに1年の時間を要した。未知のビジネスではあったが、案件を進めていくなかで、次第に不動産リースの面白さにのめり込んでいったという。「契約を結ぶまでがひとつの山場ではありましたが、それを乗り越え、実際に建物が出来上がってくると感慨深いものがあります。物件が完成したとき、『地図に残る』とはまさにこのことなんだなと実感しました。関係各所と密にコミュニケーションを取り、苦労しながらも着実に成長することができました」。ビッグプロジェクトを完遂させたことで、M.N.の心には大きな自信がみなぎっていた。

脳裏をよぎる、
あの記憶

不動産リースの案件を終え、審査部へと異動したM.N.。審査部の役割とは、営業担当が獲得してきた案件に対し、公正な立場で取引を実行すべきか否かを助言することである。これまでは営業として顧客と接する仕事に就いていただけに、社内の人とのやり取りがメインとなる審査の仕事は、全くの別世界だった。ある日、営業担当からとあるホテル物件へのローン貸付を行う、不動産ファイナンスの案件が上がってきた。M.N.は資料に目を通し、当該物件は繁華街の駅前の好立地にホテルを構えていたため、貸付を行っても問題はなさそうに思えた。営業担当とともに、前向きに取組検討を開始した。

ところが、嫌な記憶が脳裏をよぎる。入社4年目の、あの出来事だ。大手メーカー企業の倒産も、「大丈夫だろう」と思い込み、油断が招いた損失だったことを思い出す。「本当に問題ないのか。まだ調査すべきことがあるのではないか」。そう直感したM.N.は、改めて近隣の競合ホテルの出店ペースなどを調べたところ、周辺にはホテルが乱立し、当該物件の稼働率の低下や客室単価の下落が明らかになった。これでは過去のリーマンショックのように、マーケットが悪化した際に収益が落ち、ローンを返済できなくなる可能性がある。「金融は債権を回収してはじめて、収益になる」。M.N.は若手時代の教訓を活かし、案件の見送りを営業担当に打診した。

「なんで貸付を認めてもらえないんだ」。営業担当とはその後に何度も衝突した。営業は日々、汗水を流して必死になって案件を取ってきている。それに、こんな好立地のホテル。営業担当なら誰しもが飛びつきたくなるような案件である。M.N.は営業の気持ちが痛いほどよく分かった。審査部の仕事は、見えないリスクを予測し判断すること。つまり、不確定の未来に対して判断を行い、場合によってはビジネスチャンスを潰してしまうことだってあり得るのだ。それだけに「貸付はできない」と論理的に説明しても、すぐには納得してもらえなかった。幾度となく営業担当者と協議を重ねることで、ようやく理解してもらうことができた。

結果論ではあるものの、その後に当該ホテルは新型コロナウイルス流行の影響を受け、業績が悪化し廃業となった。当社としては取組を回避したことで、損失を免れた。思い込みで判断せず、客観的に十分な分析を行うことが、後に良い結果を生み出す。あのときの苦い経験が、M.N.の仕事スタイルの基礎を成しているのだった。

一歩先の未来を判断する

M.N.がこれから目指す未来。それは審査を担当する不動産や太陽光発電、風力発電、航空機など、当社が強化戦略を打ち出している専門領域での、審査の第一人者となることだ。特に環境エネルギー関連では法制度が頻繁に変更されるなど、収益のリターンが見込める一方で、損失のリスクも高まる。そのため、案件審査には慎重かつ高度な分析能力が求められ、責任も大きくのしかかる。「より専門的な知識を身につけ、一つでも多くの案件を経験することが重要」とM.N.は考えている。将来のリスクを予測して損失を未然に防ぎ、会社としての収益力をさらに高めていく。そのためには、M.N.の先を読む力が欠かせない。

PERSONAL CHART

新人時代

現在

入社前は、長くサッカーを続けていたこともあり、体力や粘り強さには自信がありましたが、それ以外のスキルはありませんでした。入社後、社内外で様々な年次の方々と仕事を進めることでコミュニケーション力が身につき、自分で考え、意見を発することができるようになったと思います。また不動産リースや審査など、当社のなかでも少数の組織に属してきたこともあり、業務の専門性は非常に身についたと感じています。

CAREER PATH

2006

関西支社

2009

コーポレート・
ファイナンス営業部

2010

事業法人営業部
(事業法人第二部)

2014

ソリューション部

2014

審査部

CAREER

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