PROJECT

03

観光・地域活性化プロジェクト

人の流れをつくり、
まちの活気を取り戻す
地域活性化プロジェクト

レジャーや名産品、人気スポットなど、その地域ならではの強みを打ち出し、観光客を集める行楽地は日本全国に存在する。一方で、以前は観光地として栄えていたものの、都市部への人口集中や後継者不足などを背景に、今や閑散としてしまっている地域も少なくない。そうした地域にとって、魅力あるまちづくりを行うことは、その地のアイデンティティを守り、住民が誇りと生きがいをもって生活していくための力の源にもなるため、非常に大きな意義を持つ。そこで、CSV経営の実現を目指すNECキャピタルソリューションは、観光地として課題を持っている地域を活性化すべく、新たなプロジェクトを発足させた。

PHASE 01

背景

観光は地方都市の生命線

日本における観光業は一大産業である。しかしながら、観光業には地域差があり、集客に苦戦している場所もある。また栄えている観光地に属しているものの、大型宿泊施設に観光客が流出しているケースもある。地域に根付いた老舗旅館やホテルで、経営難に陥っている事業者は数多く存在する。そうした状況に対して、地方銀行をはじめとする金融機関や地元企業は危機感を抱いており、ともに事業の活性化に取り組むパートナーを探している。「経営に苦しむ地元の事業者を支援しながら、自社のビジネスを拡大することはできないのか」。当社内でもそんな声が上がっていた。

2018年、そうした集客に苦しむ観光地の事業主への支援を目的とした、新事業推進部(現在の地域活性化推進部)が誕生。北は北海道、南は沖縄まで、様々な地域の経済を活性化すべく、検討がスタートした。案件は基本的に、まちの活性化を図りたい地元の企業や金融機関などから相談を受け、宿泊施設や飲食店など観光に必要な事業に対して、当社として投資が可能かどうかを判断する。出資や融資、ファンドからの資金拠出、取締役の派遣などを通じて、地元事業者と連携しながら、財務面で地域の活性化に貢献するというのが当社に求められる役割だ。当然ながらきちんと投資を回収できなければ、当社の事業が成り立たなくなるため、その判断には細心の注意を払う必要がある。

PHASE 02

進展

現場を知るからこそ、
説得力が生まれる

2015年に入社したT.O.は、2019年4月に地域活性化推進部に配属された。地元企業などの引き合いを中心に案件がスタートする当部のビジネスは、営業畑を歩んできたT.O.にとって、アプローチの仕方が全く異なるものだった。「これまでは自分で案件を取りに行くのが基本でしたが、地域活性化推進部はその逆。先方から相談を受け、それに対して当社が投資の検討を行います。まずは投資前の、当社内での稟議がひとつのポイントとなります」

引き合い後は、地元事業者との打ち合わせや現地の視察、金融機関との会議などを行いながら投資を検討。地域を活性化したいという事業者の想いに寄り添いたい気持ちだけでは良い判断はできない。現地に赴き、その地域の本質的な課題に向き合う必要がある。地域活性化推進部内で案件の取組みを判断した場合、社長を含めた会議に諮ることとなる。「地域の現状や課題を正しくとらえたうえで、投資の対象が適切であるか、まちづくり事業者の計画が達成できるかを、当社内で説明できなければなりません。しかし、現地に足を運んでいない会議出席者に、実際の様子や地域住民の想い、現場の良さを伝えることは想像以上に難しいものです。会議では『観光客は戻るのか』、『投資は回収できるのか』、『本当に地域のためになっているのか』と指摘をもらい続け、4回目の付議でやっと投資承認となった事例もあります。それだけ慎重な投資判断が必要なのです」

そうした経験は同時に、T.O.が成長を感じた瞬間でもあった。「投資可否の検討を行うために、現地を何度も訪問し、事業者や金融機関との打ち合わせを密に行うことで、地域の現状や課題、投資後の効果を正しく認識するように努めました。それをできるだけ事業計画に数値として落とし込むことで、最終的には納得感のある説明となりました。また、説明資料についてもただ事実を並べるだけではなく、ポイントとなるところを強調しながら資料を作成し、文字では伝わらない部分は写真を用いて現場の雰囲気を伝えることを意識しました」。現場主義を重視し、自分の目で見て、耳で聞いた情報を伝えようとするT.O.の姿勢があったからこそ、納得感を持って案件に取り組むことができている。NECキャピタルソリューションでは2021年7月時点で、16件の投融資を行っている。

PHASE 03

試練

トラブルはつきもの

しかしながら、投資を行うことがゴールではない。その資金をもとに事業が成功し、地域経済の活性化につながることが目的である。当然ながら投資後に、予期せぬ事態が起こることもある。「例えば、連休前に水道管が破裂したり、温泉を供給するポンプが止まったりと、宿泊施設の運営ではお客様に見えないところでのトラブルも様々発生します。私が直接的に旅館を運営するわけではありませんが、修理費などの財務にかかわる部分は、資金繰りを考慮しながら当社が対応策を考えます。そうした不測の事態が起きてもすぐに対応できるよう、少なくとも月に1回、多いときは毎週テレビ会議をしている地域もあり、現状を把握するように努めています」

また2020年に世界中を襲った新型コロナウイルスの流行は、宿泊施設に深刻なダメージを与えた。外国人観光客はもちろんのこと、国内旅行も制限され、観光地はこれまで以上に苦しんでいる。より細かく資金の管理を行うことで、なんとか営業を続けられている状況である。「施設運営にかかわるシフトの再調整を行い、人件費の削減を助言することもあります。また補助金を活用したサービスの再構築を行うなど、財務面でのサポートだけでなく、宿泊施設の経営についても関与を深めることが増えています。観光業界には、これまでにない逆風が吹いていますが、こうした状況下でも収益を出せる仕組みを、地元の事業者と一緒になって構想していくことが今後必要となります」

PHASE 04

ビジョン

活気溢れる未来を目指して

当社の地域活性化プロジェクトは、まだまだ始まったばかり。中長期的視点で考え、継続的に投資をしていくことが必要であるため、今すぐ効果を実感することは難しいが、これまでなかったような宿泊施設や飲食店をつくることで、新たな人の流れが生まれてきた地域もある。しかしながら、それもまだ道半ば。現時点では、まちが活性化していくための準備段階であり、プロジェクトとしてのゴールは迎えていない。今後、新たな事業者や施設、店舗が誕生し、観光客が地域に集まり、まちが活気に溢れてゆく──。そんな未来に想いを馳せながら、NECキャピタルソリューションの挑戦はこれからも続く。

当社が関わった宿泊施設

当社が携わった地域活性化プロジェクトの宿泊施設の一部です。ぜひ、ご利用ください。

onsen hotel OMOTO/長野県松本市

http://www.omoto.co.jp/

月と海/長崎県長崎市

https://tsuki-to-umi.com/

PROFILE

T.O.

地域活性化推進部
2015年新卒入社

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