PROJECT

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川崎市GIGAスクール構想プロジェクト

ICTの力で、日本の教育に貢献する
川崎市GIGAスクール構想プロジェクト

2019年12月、文部科学省が「GIGAスクール構想」を発表した。GIGAスクール構想とは、児童1人につき1台のPC・タブレット端末と、高速通信環境の整備を行い、個別最適化され創造性に富んだ教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想のことである。本構想に基づき、地方自治体は公立小・中学校の全児童分の端末手配が急務となった。150を超える市立学校を持つ川崎市もその一つだ。手配すべきPCの台数は約11万台。NECキャピタルソリューションは、NEC製品の販売店(ベンダー)と連携しながら、川崎市へのPC導入プロジェクトに参画した。

PHASE 01

背景

世界から後れを取る
日本のデジタル教育

Society 5.0(※1)時代を生きる子どもたちにとって、教育におけるICTを基盤とした先端技術の活用は必須となっている。一方で、日本の学校の授業における、デジタル機器の使用時間はOECD加盟国で最下位とのデータがあり、デジタル教育の分野においては世界から後塵を拝していると言わざるを得ない。そうした状況を打破するために打ち出されたのが、GIGAスクール構想だ。GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の略で、「全ての人にグローバルで革新的な入口を」という意味が込められている。2019年12月時点では、2023年度までに1人1台の端末の整備を目標に掲げ、各自治体が取り組みを進めていた。

当社はこれまで、多数の官公庁・自治体の顧客向けにNEC製品のリースを行ってきた実績があり、本件においても、NECが生産したPCのリースには一定の需要が予想された。神奈川支店でベンダー営業を行うM.O.は、学校の事業支援に強みを持つA社とコンタクトを取っていた。「GIGAスクール構想が立ち上がった時点で、私たちに営業のチャンスがあることは分かっていました。しかしながら、実際に端末を納入するベンダーがいなければ、リースを行うことはできません。連携するベンダーを探し、ともにリースの仕組みを考えて提案することで、少しでも落札の確度を上げることが、私たちに求められる役割でした」。M.O.が本件に携わったのは2020年の4月からであるが、当社とA社は古くから取引があり、ともに案件に取り組む方向で話が進んでいた。

ところが状況が一変する。新型コロナウイルスの流行により、公立学校でもオンライン授業が検討され始め、急速に端末の需要が高まったのだ。2023年度までに3年間かけて端末を導入する予定だったが、感染拡大の影響を受け、約1年での納入が必要となった。全国各地で需要が急増するなか、果たして期間内に端末を調達することが可能なのか。M.O.は不安を抱えながら、営業活動を行っていた。

狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会として、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会。

PHASE 02

進展

1社タイアップに向けて

ベンダーであるA社には大きな課題があった。川崎市に納入する端末の台数は11万台以上で、金額も数十億円にのぼる。しかし、納入した端末の支払いを受けるより前に、A社にはメーカーから仕入れた巨額の代金の先払いが発生してしまう。A社にとっても超大型案件であるため、多額の先払いは経営を圧迫するリスクがあった。この課題が解消できない限り、プロジェクトを進めることは難しい。そこでM.O.は当社の金融商品である、メーカーへの仕入れ代金支払いの「立替払い」を提案した。

特殊な事例だが、M.O.には一つの狙いがあった。「通常、こういったケースはあまり起こり得ないのですが、今回は案件規模が大きかったこともあり、立替払い提案を行いました。ただ、こうしたベンダーが抱いている課題感は、普段から密にコミュニケーションを築いていたからこそ、発見できたものでもあります。ベンダーが端末を準備できなければ、そもそもスタートラインに立つことも叶いませんので、そこを支援することで、より関係性を深められたと感じています。この立替払いの提案をきっかけに、当社の端末を準備1社タイアップにもつながりました」

1社タイアップとは、ベンダーが協働するリース会社を選定する際に、1社のみと提携し、入札に挑むことだ。入札時に前面に立つのはリース会社であるため、ベンダーにとっては複数のリース会社とタイアップし、落札の確度を上げることも可能だ。逆にリース会社としてはベンダーからの信頼を勝ち取り、他社に隙を与えないことが、受注に向けたキーポイントとなる。今回は立替払いを提案することで先方のニーズに的確に応えることができました。1つのリース会社だけが突出して優れたサービスを有していることは多くありませんので、いかにしてベンダーに『このリース会社と組んだら勝てそうだな』と思ってもらえるかが大切だと考えています」

プロジェクトのフォーメーション

PHASE 03

ビジョン

リースを通じて
デジタル教育に貢献

1社タイアップの確約を得たM.O.は、川崎市の案件を落札すべく、A社と入念な打ち合わせを重ねていった。2020年7月に入札公告となり、その後に応札。2020年9月に落札が決まった。「落札した時は喜びと安堵の気持ちが同時に押し寄せてきました。A社との1社タイアップを実現させたうえで、川崎市が求める条件をクリアできる提案ができるかどうか。本件においてはそのどちらも達成することができたので、落札につながったと感じています」

2020年11月に川崎市と契約を締結し、2021年3月よりリースを開始。11万台を超える端末の納入は既に終えている。当初予定の2023年度までの導入計画からは、約2年前倒しのプロジェクトとなった。「当社はあくまでリース会社という立ち位置ではありますが、いつでもどこでも利用可能な教育ICTインフラの整備・高度化に貢献することは、ひいてはそれが、当社の社会価値向上につながります。コロナ禍でイレギュラーな対応を求められる状況ではありましたが、納入した端末によって子どもたちの学習環境が向上できていれば、頑張った甲斐がありますね」

PROFILE

M.O.

神奈川支店
1999年新卒入社

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